このびわ湖SDGsツアーにおいて、私たち1班は明山陶業株式会社様に取材をさせていただいた。明山陶業株式会社様は、1600年ごろより信楽焼という産業を通して滋賀県甲賀市信楽町に地域の人たちとともに生きてきた陶器製造会社である。明山陶業株式会社様が、信楽焼という伝統産業を通じて周辺地域とどういった関わりを持っているのか、また、SDGsを達成するためにどういった取り組みを行っているのか、深く探ってみたいと思い、取材をさせていただいた。
「不良」を生み出さない
明山窯は信楽焼という伝統産業を創っていくにあたり、SDGsの12番目のゴールである「つくる責任 つかう責任」と密接に関係しているのではないかと考えた。そこで、その目標を達成するために取り組んでいることについて詳しく伺ってみたところ、生産者側である「つくる責任」として、「不良」を作り出さないようにしているという。その「不良」を作り出さないために重要なことは、大量生産を行わないようにすることであるようだ。明山窯では、丁寧に作品をひとつひとつ作っていくことを大事に考えている。それは「不良」を生み出さないために必要なことであるとともに、明山窯のブランド力も向上させ、この信楽焼という伝統文化を次世代に残していくことにも貢献していそうだ。
「つくる責任」=「伝える責任」
「つくる責任 つかう責任」を達成するために意識していることについて、明山陶業株式会社社長、石野様はこうも述べている。「つくる責任とは、伝える責任でもある」と。不良を生み出さないようにするために、生産者側である明山窯は、消費者に製品を提供した後に不良として廃棄されないよう、オンラインショップで作品の情報を事細かに掲示し、消費者への説明をしっかりと行っているという。 作品を作るにあたって大切なことは、生産者側が一方的に製造することではなく、消費者とつながることそのものであることであると感じた。「つかう責任」はもちろん私たち消費者にある。生産者側から伝えられた情報を吟味し、作品を選択し、大切に使用することも「つかう責任」として消費者に求められる。
職人全員の意識が大事
明山陶業での環境への取り組みは、社長の石野さんがきっかけで行われている。社会的な問題や動きもあり、環境に負荷がかからないようなものづくりを意識しているそうだ。その意識を職人全員が持つことが重要だと石野さんはおっしゃっていた。また、SDGs9番のゴールに関して職人不足の解消についても、画期的な取り組みを行っている。今まで技術の継承は口伝で行われていたが、職人によって伝え方が違っていた。そのため、伝える技術をデータベース化して担い手不足・職人不足の解消に役立てようとしている。このように、伝統工芸である信楽焼づくりで環境に配慮した取り組みを行うためには、職人たち全員の意識が重要である。
芝浦工業大学 びわ湖SDGsツアーについて
芝浦工業大学 びわ湖SDGsツアーでは、2020年8-9月にかけて滋賀県内のSDGsを実践者への取材・記事作成を行う「SDGs Studios」プログラムを実施しました。今回は、新型コロナウイルス感染症の影響により全てオンラインで、受講生が滋賀県内の取り組みを調べながら、自身の興味・関心をもとにグループメンバーと協働で記事作成に取り組みました。