フェアトレードを日常生活の延長線に~フェアトレードホテル「六根ゲストハウス」で新しい日常に出会う~【KAMADOKI2021・SDGs Studios】#4

京都市寺町通りにある菊屋雑貨店では、チョコレート、コーヒーなどの食品、洋服、アクセサリーなどのフェアトレード商品が売られている。菊屋雑貨店の代表である岡本佳代子さんが新しく始めたフェアトレードホテル「六根ゲストハウス」についてお話を伺った。

菊屋雑貨店の店内の様子

フェアトレードを広げるための新たな挑戦

中学生のころ、ニュースで見たことをきっかけに環境問題に興味を持ち始めたという岡本さん。2006年、祖父母が所有していた店舗を引き継ぎ、小売店を始めることを決め、販売するものを考え直した時に思いついたのがフェアトレード商品だった。
今年で15年目を迎える菊屋雑貨店。岡本さんは、このままフェアトレード商品を広げるために地道にお店を続けていくのか?素晴らしい商品・仕組みをさらに広げるためにはどうしたらいいか?と考えていたとき、「自分自身が消費者になること」を思いついたという。そして、フェアトレード商品に出会い試せる機会を提供する場所として、フェアトレードホテルを開業することを決意した。

六根ゲストハウスの客室

日常生活の延長線にあるホテルを目指して

古来より、日本人は普段どおりの日常を「ケ」の日、祭礼や行事などを行う特別な日を「ハレ」の日と呼び、日常と非日常を使い分けてきた。六根ゲストハウスは、「ケ」の日にフェアトレードを取り入れたくなるような、心地よさや温もりを感じられることをコンセプトにしている。
雑貨店で海外からの観光客の方とお話した時に、日本では必要以上にビニールで梱包することに疑問を持っていたり、ベジタリアンの方がどこで食事をしたらいいのか分からなかったり、満足できていない現状を目の当たりにしてきたという。そのような経験からも、宿泊された方の誰もが安心できる場所になることを目指しているという。

ホテルで提供されるアメニティ(石鹸、シャンプー、タオルなど)はフェアトレード商品が使用されているのに加え、京都産の無農薬の自然農法の野菜を使った朝食を提供している。料理をすることが好きな岡本さんが調理を担当しており、今後は宿泊者以外でも利用できるフェアトレードカフェをオープンしたいと考えているそうだ。

 

採れたての無肥料、無農薬、無堆肥の野菜を使った朝食
お客様の要望に合わせてヴィーガンやアレルギーにも対応している

若者へのメッセージ

若い世代が環境問題やエシカルについて興味・関心が高まっていく中で、その世代がおとなになった時、どのように社会が変わるのかがとても楽しみと語る岡本さん。

これからアクションを起こしていく若者に向けて、「楽しみながら、自分を信じて進んでほしい。夢や願いは言葉にすることが大事、そうすることできっと叶います」とメッセージをいただいた。

取材を通して、菊屋雑貨店や六根ゲストハウスで日常に取り入れていけるモノを発信されていることが、誰かの1つのエシカル・アクションに繋がっていくと感じた。フェアトレード商品を買ってみる。地元で採れた野菜を食べてみる。などの日常の小さな変化を楽しんでいきたい。

菊屋雑貨店・六根ゲストハウス代表 岡本佳代子さん

 


取材先|岡本佳代子(おかもとかよこ)さん
菊屋雑貨店・六根ゲストハウス代表。フェアトレードが広く普及し、誰もが平等により良い商品を売買・使用できる世の中が日常になることを目指している。フェアトレードホテルを、誰でも気軽に利用していただけるよう活動を続けている。
取材者|中西 優奈(なかにしゆな)
立命館大学大学院 生命科学研究科1回生。奈良県出身。学部生の頃からSDGsや地域活性に興味を持ち様々な活動に参加。日々の暮らしで実践できるエシカル・アクションについて考えたいと思い今回の活動に取り組んだ。